とある物書きの日常

さよならの準備が足りない。

#小説書き出し

昔から金魚鉢で飴玉を飼うのが好きだった。

花が言語を持つなんてことを、長らく夢物語の類だと思っていたのだがどうやら違うらしい。

電車から深夜の音しかしなくなった時、はじめて深呼吸が出来るようになる。

冷蔵庫の主をしていたはずのじゃがいもはいつの間にか芽を出していた。

宝くじを買おう。雪が降ったその日、何故だかそう決意した。

窓の外で羽音がした。ああ、やっと天使がやって来たのだと僕は忙いで窓に駆け寄った。

青空が平たく、雲がやっとのことで吊る下がっているような日のことだった。

急いでいたその日、うっかり「あ」っという言葉を花に落としてしまってからというもの、赤子のように花は言語を咲かせていった。今ではまるで友人のように隣人のように恋人のように会話するまでになっている。

(これは上から二番目の続きで書いたやつ)